【多様な意見で磨かれる】a creative work brush up by a very wide diversity of opinions
大好きなピクサーの本という事で読んでみましたが、近年読んだビジネス書の中でNo.1に面白かったです。共同創設者で現社長のエド・キャットムル氏の自伝的な部分もありますが、持続可能なクリエイティブ文化をどう作っていくかというマネージメントに関する部分が大変参考になりました。
エド・キャットムル氏の自伝
前半はエド・キャットムルがピクサーを作るまでにどのような人生を歩んで来て、どうやってピクサーを作ったかについて、彼の半生と3D映画にかける情熱について書いてあります。
ピクサーファンであれば当然この部分も生い立ちも面白いです。
マネージャーになってからのエド
エドはトイストーリーで世界初の3D映画を成功させてからは、それまでの3Dの技術者としてではなく、経営者になっていくのですが、ビジネス書としはここからが最強です。
いつでもクリエーター達がよりアイディアを発展させ、物語を面白いものにし、情熱を持って作品に取り組み、仕事として納期や予算を守る環境をどうしたら継続的に作れるかについて書いてあります。
企業文化とうのは一朝一夕では育たない。何年も何年もトップがしつこく言い続け、皆に示した事をみんなが理解して初めて出来上がるものだと痛感します。
そしてそれだけの努力をしても、見えない力が働いて気を抜くと思ってもいない方向へ引き寄せられていくものなのかと。
失敗を失敗として終わらせず、常に次につなげて行く環境作りとその工夫がすばらしいです。
アイディアを潰さないように、誰もが自由に発言できる環境作りとは、多分皆が理想に思っていますが、本当に実現するのはかなり難しいです。それを本当に難しいと分かっていながら、いかにその理想に近づく努力をしているか、そして細心の注意を払っていてもそれを維持することがいかに難しいことか。
沢山の失敗を重ねながらも、失敗は決してムダではなくチャレンジすることが大事というメッセージを送り続けるその姿勢は尊敬です。
ストーリーが一番偉い
ピクサー映画のスゴイ所は技術もさることながら、そのストーリーのしっかりした所です。
1本の映画の中にムダなく、しかもダメな映画5本分くらいのストーリーが詰まってます。
そんなピクサーの作品さえ、最初からいいアイディアなどはないといいきります。
皆が意見を出し合い、育てていくからこそ、一人で考えても無理なストーリーができていくんだなと思いました。
「良い人材と良いアイディアどちらが大切か」という話が出てきますが、ダメなアイディアを人材の力で育てて行くこの仕組みこそがピクサーの強みなんだなと思いました。
それは近年見事に復活したディズニーアニメーションが実証しています。
このディズニー再生のパートもとても面白いです。
すっかり駄作が増えたディズニーのアニメが、ピクサーと合併後見事に復活したのはジョン・ラセターの功績だと思っていましたが、この誰もが意見を言う事ができる環境作りや、良いアイディアを出し合い、もらったフィードバックも自由に活用出来る環境が、良いストーリーと良い映画を作っているんだろうなと思いました。
まとめ
今までもずっとピクサーに憧れていましたが、それは大企業としてのピクサーであり、もっと分かりやすい、会社のデザインがステキとか、個人の部屋が自由でいいとか、企業の中に大学があるとか、そういう部分での憧れでした。でも、本当に尊敬するべきはそういう企業文化をどのように維持していくかとい姿勢にあったという事が分かります。
これからもディズニーやピクサーが私たちを楽しませてくれる傑作を作り続けてくれる事を願い、そして楽しみにしています。

ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法
posted with ヨメレバ
- 作者:エド・キャットムル 著,エイミー・ワラス 著
- 出版社:ダイヤモンド社
- 発売日: 2014-10-03
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